プロの行政書士が、あなたの権利を保全し、将来の紛争を未然に防止します。

 不動産関連の問題


特に内容証明郵便が効果的な分野に絞って解説したいと思います。



 賃貸経営上の問題・・・貸主の立場から

 借主に家賃を滞納された場合

以下のような動きが一般的ですが、賃借人の対応により段階を省略することもあります。

第1段階

   電話により、本人と連帯保証人へ催促(自宅、勤務先)をする。


   連絡が取れなったり、居留守を使っているような場合、現地ポストに手紙
   を入れ、連絡をいただきたい旨伝えます。

第2段階

   普通郵便で配達証明付の督促状を送付します。
  
   できるだけ、面談するのが基本ですが・・・。

   悪質な賃借人の場合、不動産業者は現地に貼り紙をしたり、鍵にカバー
   を付けて連絡があるように動く場合もありますが、違法性を否めませんの
   で、お勧めできません。

第3段階

   内容証明郵便での督促状(催告書)送付

   滞納家賃の支払いと支払わない場合に退去願うという内容を記載した
   内容証明郵便を送付します。ただし、この内容証明による督促方法は、
   法的には強制力がありません。

   催告書の内容には、
 
(1)賃貸借契約書の内容が記載してあること
(2)未払いの家賃が継続していることが明確に記載してあること
(3)一定期間が経過しても家賃が払われない場合、賃貸契約を解除
  するという意思が記されていることが大事です。

 
第4段階

   契約の解除

期間内に支払がない場合は、賃貸借契約は解除されたので、家屋の
明渡しと鍵の引渡しを求める通知書を、その賃借人に配達証明付内
容証明郵便で送ります。


第5段階

   現実問題として、これ以降の動きは、
貸主側に決してお得ではありませ
   ん。
   ・・・理由は、費用がかかりすぎて回収困難だからです。
      詳細は、第7段階の強制執行に記載しております。

   占有移転禁止の仮処分の手続き

第6段階

   明渡請求訴訟

第7段階

   強制執行





 敷金を返してもらえない・・・借主の立場から


敷金とは、賃借人の賃料の未払い、借家を壊した場合などの損害を弁償してもらう目的で賃借人から、賃貸人に交付される金銭のことです。
 
契約書に書かれている通り、家主に預けた敷金は、原則として借家の明け渡し時に、すみやかに賃借人に全額返還されるべきものです。

ただし、賃借人の故意、過失による汚損、破損が物件に生じている場合は、その補修費用分を家主が敷金から差し引くことができるように、契約書に書かれていることが一般的です。

重要なことは、「敷金から補修費用を差し引けるのは、賃借人の故意、過失による汚損、破損に対する補修費用である」、ということです。

たとえば、補修が必要なくらい傷を付けてしまったとか、著しく汚してしまったという場合に限り敷金から補修費用を充当できるのであり、普通に生活している上で生じたクロスや水周りの汚れ、塗装のはげ、などはこれにあたりません。

これら自然損耗に対する補修については、月々支払っている家賃に相当額が含まれているとの考えが正しいのです。

また、明け渡し時に、畳表の交換、襖紙の交換、クロスの張り替え費用を請求されることは非常に多いのですが、これら、壁紙・畳・床 などは、普通に使っていても、日焼けしたりしますので、このような費用は、家主が次にその部屋を貸すために行う再商品化のためのものであり、退去した賃借人が負担する義務はありません。


れでは、原状回復義務とは、どういう場合をいうのでしょうか。

民法上の規定はありませんが、判例によりますと「通常の使用収益に伴って生じた自然の損耗は別として、賃借人の保管義務違背等その責任に帰すべきことで加えた毀損について毀損前の原状に回復する義務」と定義しています。

また、国土交通省のガイドラインでも「建物の経年変化、通常損耗による建物の劣化等は除き、賃借人の故意過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超える使用による建物の損耗」の場合に限って、賃借人に原状回復義務があると定義しています。

更に、宅地建物取引業者を対象とした、東京ルール(賃貸住宅紛争防止条例)でも借主に対しての説明事項を以下のように規定しています。

(1)退去時の通常損耗等の復旧は、貸主が行うことが基本であること
(2)入居期間中の必要な修繕は、貸主が行うことが基本であること
(3)賃貸借契約の中で、借主の負担としている具体的な事項
(4)修繕及び維持管理等に関する連絡先

また、その中の(3)の具体的な事項として、特約の成立要件を定めています。

(1)特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由
   が存在すること

(2)賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負
   うことについて認識していること

  
・・・不動産業者はこのため、賃貸借契約締結前に都条例(東京ルール)
     を理解しましたという署名を借主からいただきます。

(3)賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること


一般的な具体例(借主の負担義務がないもの)

(1)室内クリーニングで清掃可能なタバコのヤニ

(2)日常の清掃を行なっていた上での、室内クリーニング代

(3)テレビ・冷蔵庫等の壁面の黒ずみ(電気焼け)

(4)日照などの自然現象によるクロスの変色

(5)家具の設置によるカーペット、クッションフロアーのへこみ



以上、総合的にみて敷金の返還金に不満がある場合は、内容証明郵便によって意思表示をし、それでも解決しない場合は「少額訴訟」に踏み切るのが効果的です。


大家側からの対策としては、

賃貸借契約の内容そのものを「敷金」ではなくて、
「償却」にする方法があります。

「償却」・・・つまり、「返しません」とするのです。

具体例としましては、「敷金2ヶ月のうち、退去時に1ヶ月分償却します。」と契約書に盛り込みます。

但し、募集時からその内容の契約が条件であることを明示しなければなりませんので、借主の応募は減る可能性はあります。

また、その条件は、「半年以内に退去する場合は、償却を1ヶ月半とする。」と決めても有効です。






 投資マンションを購入したが、やっぱり不安・・・

「資料を送ります。」といって、職場に電話がかかってきて、その後、「資料を見ていただけましたか?」等と、しつこく何回も電話があり、是非会って詳しい話をしたいと、遠方なのにやってきて、営業マンが地価の動きから、節税効果、年金効果など、さも研究者のように延々と長時間に渡って説明し、「いりません」と言っても、「何が問題なのか?」「ここまで時間と経費を使って来ているのに・・」などとおどし、「女房に相談してから決めたい。」と言っても、「反対されるに決まっていますから、収入が出たときに話せばいいですよ。」などと、考える時間も与えてくれず、ついに長時間に渡る勧誘で判断能力が低下し、その場から開放されたいという気持ちで、契約書にサインしてしまった・・・・・。

典型的な投資マンションの購入パターンかも知れません。

メリットとデメリットを良く理解して買っていただく良心的な業者も多いのですが、いまだに強引な営業マンが多いのも事実です。

実際に自分で研究されて、自ら積極的に投資マンションを購入された方ではなくて、購入したことを後悔している場合、解約したい気持ちはわかります。

解約のためには、そのポイントと方法がありますので、以下を参考にして下さい。



クーリングオフ


不動産取引のクーリングオフは、クーリングオフ告知の日から8日間です。

但し、クーリングオフできるケースは限られています。

また、クーリングオフは書面で通知する事が必要です。

内容証明郵便を販売業者の代表者あてに送ります。



クーリングオフの対象外

(1)不動産業者の事務所でした契約

(2)条件を満たす「案内所」でした契約

    ・(条件1)土地に定着した建物
       ・・・テント貼りの案内所で契約なら、クーリングオフ可能です。

    ・(条件2)専任の取引主任者の設置義務のある案内所
       ・・・実際に取引主任者がいなくてもクーリングオフは出来ません。
         ちなみに、取引主任者不在で契約書を交わしても、契約そ
         のものは有効です。
         その場合、宅地建物取引業法第35条違反で、管轄の監
         督庁に申し入れ、指導等をしてもらい圧力をかけます。
         
(3)買主が申し出た場合の自宅、勤務先での契約
       ・・・売主が申し出た場合は、対象です。
         一般的には、売買契約書に「買主の申し出により・・・」と記
         載されているのがほとんどですから、勇気を出して、削除を申
         し出て下さい。

消費者契約法による解約

急増する消費者契約トラブルに対して消費者(投資マンション購入者)が事業者(分譲業者など)と契約を締結する際に、事実と異なることを説明された場合や、「誤認」を与えるような説明を受けた場合など、契約後に意思表示を取り消すことができると定めた法律で、平成13年4月に消費者の利益の擁護を図る目的で施行されました。

具体的に取り消しが可能となるのは以下の5項目となります。

(1)不実の告知(消費者契約法第4条1項1号)

(2)断定的判断(同第4条1項2号)

(3)不利益事実の不告知(同第4条2項)

(4)不退去(同第4条3項1号)

(5)監禁(同第4条3項2号)

(1)「不実の告知」は、
「重要事項」について事実と異なることを告げること、あるいは告げられた内容が事実であると誤認させる内容であることを指します。重要事項とは契約を締結するかどうかの判断材料であり、家賃保証をしていないにもかかわらず「入居者がいなくなっても心配ありません」といった表現が当てはまります。

ここでいう「告げる」とは、口頭で述べるだけではなく、それとなく「ほのめかす」場合も含まれ、また消費者が「告げられた内容が事実であると誤認」した際に、消費者には過失はなかったかどうか、つまり「過失の有無」は問わないこととなっています。

(2)「断定的判断」は、
将来におけるその価値、または将来において消費者が受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項について、断定的判断を提供すること、あるいは提供された断定的判断の内容が確実であると誤認させることです。

「家賃が下がることはあり得ません」「将来は必ず売却益が出ます」といった表現がそれに該当します。

「断定的」と解釈できる判断基準は難しい面がありますが、過去の数値データを提示しながら「過去は・・・でしたから、10年後には、・・・程度値上がりすると思いますよ」といった場合は、断定判断の提供にはならないと解釈されており、「客観性」が伴うか否かがポイントとなります。

(3)「不利益事実の不告知」は、
「重要事項」説明において、消費者の利益となる旨を告げ、かつ、不利益となる事実を故意に告げなかったことにより、不利益になる事実が存在しないと誤認をし、契約を締結した場合です。
販売する投資マンションの南側に新たなマンション建設が予定されており、かつ事業者はその事実を知っているにもかかわらず一切説明しない。
中古物件で、管理費の滞納があるのに説明がない。などがあてはまります。

(4)「不退去」は、
事業者に対し購入者が、その住居又はその営業を行っている場所から退去してほしいという意思を示したにもかかわらず、その場所から退去しないことで、「契約するまで帰りません」と居座る場合です。

(5)監禁は、
事業者が契約の締結について勧誘している場所から購入者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から購入者を帰さないことです。
「契約するまで帰しません」といった場合です。

なお、注意点としましては、

(1)取消権は追認することができる時から
6ケ月以内にしないと時効により消
  滅してしまう。

(2)契約の
締結から5年を経過したときも同様(同第7条1項)に時効になる。

さらに、売主(事業者)と買主(消費者)との直接取引に限定されず、両者の間に媒介または代理として介入した業者にも準用されることとなっています。



手付放棄

売買契約締結時の手付金は、解約手付といい、あらかじめ解約する場合の違約金の金額をきめるものです。

一般の住まいとしてのマンション等の契約は、売主が一般の方で、仲介の契約がほとんどですから、手付金が少ないと売主が不信感を持ちますので、100万円位は必要でしょうが、投資マンションは、意外に少額で契約することが多いようです。

手付金10万円、というのもありえますし、極端な話1万円もありえます。

但し、その場合、中間金を「早めに・・・万円振り込んで下さい」となるはずです。

そこで、ちょっと待って下さい。中間金を払うというのは「履行の着手」になる可能性があり、解約する場合は、手付金の放棄だけで済まなくなります。つまり、売買代金総額の2割金・・・通常2割条項といいます・・・が必要になってしまう恐れがあるのです。

恐れがありますと言いますのは、何も知らないと、業者に脅されて売買契約書に書いてありますから「2割金を払うか、買うしかありませんよ」と言われて従ってしまうことになりますよ、ということです。

しかし、宅建業者が関与する不動産売買契約において、債務不履行による違約金の額が売買代金総額の2割金と約定されている事例が多いのですが、これは、宅地建物取引業法により違約金などは最高で代金の2割金を超えてはならないとされているために、契約書類を作成する宅建業者が、その上限額を重要事項説明書や契約書に一方的に記載しているのが現状であるだけです。

取引の事例においても契約当事者間で違約金について明確な協議や合意をすることはほとんどありません。・・・当然の如く重要事項説明書や売買契約書の説明に際して、一方的に違約金は2割金相当額である旨を告知しているだけです・・・このことから、宅建業者が重要事項説明などにおいて説明したとしても、真に契約の当事者間で合意したと考えることはできませんので、契約書の条項は最高額が2割金相当額である旨の例文規定に過ぎないと考えられるのです。

実務においても代金額の2割金相当額の違約金を支払われる事例はほとんどなく、手付金相当の額(売買代金の5%から10%)で処理されているのが現状です。まして、知っている、知らないという関係では、強者になる業者と弱者である一般購入者とでは、弱者保護の精神から戦う価値はあるかと思いますが・・・。





無料メール相談(ここをクリックしてください)


もどる


        |特定商取引法に基づく表記プライバシーポリシー免責事項料金表はじめての方自己紹介
                         |相続関係内容証明作成著作権登録申請
Copyright(C) 2005 斎藤法務事務所 All rights reserved.